2022年度の日本バイオインフォマティクス学会(JSBi)によるバイオインフォマティクス技術者認定試験を受験したので、試験までの勉強方法をまとめた。(12月21日に結果発表があり、上位10~30%の間で合格Bとなり、無事合格)
認定試験について
この試験は、近年のゲノム解析などの必要性により、これまで生命科学などが情報科学と密接に結びつくようになり、バイオインフォマティクスの人材育成のために入り口として用意された認定試験。試験は毎年1回で、受験時期は今年は11/12から12/4までで、CBT受験で受けることができる。
https://www.jsbi.org/activity/nintei/
受験理由
ここ数年AIから脳科学へ興味を広げてきたが、脳科学を勉強している中で細胞の話になってくると理解できず、理解を深めるためには生命科学の基礎知識の必要性を感じていた。昨年末にこの認定試験があることを知ったものの、出題範囲でよくわからない単語が並んでいるのを見てすぐに諦めてしまっていた。大学受験も物理と化学を専攻し、生物はやらなかったので、ベースの知識もない。ただ、仕事で少し医療AIに関係したことができそうだったのと、元々医療系の仕事の方向に将来的には向かうようにしたいと考えていたので、4月に受験することを決めた。
勉強方法
基本は学会から販売されている「バイオインフォマティクス入門」という参考書。最初は全然わからなかったが、わからないところはWebで調べながら、とにかく最後まで読み切った。その後は過去問を解きながら、関連するところをこの本で探して、理解を深めていった。そして理解を深めたら、またこの本を最初から最後まで読み直す。本を読むだけだと頭に記憶として残らないので、自分でルーズリーフに各ページを要約することで理解を深めた。
次は過去問。2007年から2019年までがJSBiで公開されている。参考書を読んでも読み流してしまうことが多くて頭に残らないので、頭に定着させるため、とにかく2007年から2018年まで問題を解いた。そして一巡したところで、再度解き直した。一巡目は6割弱ぐらいの点数だったけど、二巡目は7~8割ぐらいは点が取れるようになった。2019年のものはテストせずに残しておき、試験の数日前に試験本番を想定して解くようにした
問題の傾向も2017年以降から変わってきており、これまでの参考書にどこかに記述されている基本的な内容が多かったが、最近は基礎知識を踏まえた上での応用的な問題が増えている。問題の数も、2020年以降は問題数が60問に削減されている。テストの時間の120分は変わらず、問題数が80問から60問に減っているということは、一つ一つの問題の難易度が上がっているということだが、2020年以降の過去問は公開されてないので、そのあたりは対策のしようがなく、基礎をしっかりと理解するしかない。
参考書と過去問だけでは頭の中でイメージできないところは、バイオインフォマティクス推進センターのゲノムリテラシー講座を受講した。10年ほど前の動画だが、基本は変わってないので、参考書のサポートとして使用。
最後に通勤時間を有効にするために、電車の中では「進化で読み解く バイオインフォマティクス入門」を読んだが、こちらは少し難しめの本なので、あくまで参考書の補助的に使用した。

ゼロスタートからの基礎知識を理解するには以下の本が有効。
| 学んでみると生命科学は面白い | 生命科学の基礎知識がわかりやすく説明されているので、 一通り理解するのに役立つ |
| いちばんやさしい免疫学 | 免疫について理解がなかなかできなかったので読んだ。 試験に出る範囲よりかはだいぶ深い内容になっているので、概要が理解できればいい。 |
| トコトンやさしいタンパク質の本 | タンパク質全般の基礎知識の理解のために利用。 |
| ゲノム革命 – ヒト起源の真実 – | 試験後に読んだが、生物の進化を遺伝系統樹で説明されていて、学んでいることがどのように活用されているかがわかりやすい。 |
試験直前
試験の前日から当日の朝はとにかく暗記に集中。苦手だった20種類のアミノ酸の記号(3文字と1文字)と特徴(親水性や疎水性など)、データベースの名称、タンパク質の2次元構造、各種実験方法の特徴など覚えきれてないところを重点的にとにかく覚えるようにした。
試験本番
会場に15分前に入り、CBT試験会場で受付をするが、ほとんど受験者がいないマイナーな試験なのか、受付の方が「バイオインフォマティクス技術者認定試験」と最後まで言えてなかった。。。(周りはMicrosoftの認定試験の人が多かった)
指定されたデスクに座り試験を開始。60問/120分なので、1問あたり2分。少しでもわからないところは後でチェックするのマークをつけて先に進めていき、最初は時間に余裕があると思ったが、計算問題で少しつまづき、結局60問を全て終わったのが終了5分前。ラスト5分は後でチェックマークがついた問題の中でも特に自信がなかったものを見直して試験終了。
試験終了と同時に採点結果が発表され、結果レポートとして渡される。結果は70%。昨年度の合格基準点が60.8%だったので、終わった後は一安心。わからないところは多かったので、意外と点が取れたという感じだった。本来点を稼がないといけない情報科学の点が低く、生命科学もかなり低い点だったが、構造や遺伝進化、オーミクスというバイオインフォマティクスで初めて勉強したところで何故か点を稼ぐことができた。
結果発表があり、合格Bという通知があった。合格Bは合格者の10~30%。
試験を終えて
全くゼロからのスタートだったので、しかも独学だったので、難しいところはあった。最初の参考書の一巡目では挫折しそうになったが、やはり実際に問題を解いてみることが大事。過去問を繰り返したことが大きかった。せっかく勉強したし、これを次のステップに繋げていきたいが、そのステップが今はまだ見つかってないので、次の方向性をゆっくりと考えていこう。