子供が着実に成長してきて、自分に似ているなと思う部分や、逆に自分が親から引き継いだ部分などを意識する機会が増えてきている。脳科学について本を読んでいたときに細胞や DNA、遺伝に関しての説明があると、完全に拒絶反応を示していたが、この2週間で生命科学について勉強したことを備忘録として残しておく。
細胞について
生命の定義として、”膜で囲まれている”、”エネルギーを作れる”、”自己複製できる(子孫を残せる)”という3つの要素がある。その基本となるのが細胞。ウィルスはエネルギーを作れないし、細胞を持っていないので生命ではない。細菌やバクテリアは一つの細胞からできている単細胞生物だが、人は多細胞生物で約37兆個の細胞で構成されている。
人の細胞は大きくわけて体細胞と生殖細胞に分かれ、体細胞は体を構成する要素となり、生殖細胞は卵子か精子で生殖のための細胞である。
人の細胞は下の図のように色々な小器官(オルガネラ)があり、核、ミトコンドリア、リボゾーム、小胞体、ゴルジ体がある。植物にはこれに光合成のための葉緑体がある。そして、核の中に人には46本の染色体があり、その染色体の中にDNAはクロマチン構造でヒストンと呼ばれる球状のタンパク質に巻かれる形で入っている。一つの細胞に含まれるDNAの全長は2mにもなる。

DNAの構造
DNAはヌクレオチドという糖とリン酸、塩基の単位が繋がって構成される。塩基には、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)で構成される。ちなみに、DNAから転写されるRNAは、ウラシル(U)があり、TがUに置き換わっている。A-TとG-Cは水素結合で繋がり、2本の鎖状になる。
DNAとゲノムの違いだが、DNAは塩基が並んだ物質自体で、ゲノムはDNAの配列が持つ情報である。ゲノムは30億塩基対の情報になるが、このうち遺伝子として使われているのは2万個程度である。

セントラルドグマ
地球上の生物全てに普遍的に当てはまる定義をセントラルドグマという。DNAの情報が、RNAに転写され、そのRNAにあるコードが翻訳されて、タンパク質が生成されるという情報の流れの原理。

DNAの複製
細胞が分裂するときにDNAは複製される。絵だけで理解しようと思ってもなかなか難しいが、Youtubeのシミュレーション動画はわかりやすくその過程を説明してくれていてイメージがつかみやすい。ヘリカーゼという酵素によって、2本の鎖が複製フォークの部分でチャックを解くみたいに分かれていき、複製フォークは左側に移動する(動画の0:52)。片方の鎖には、DNAポリメラーゼがくっついて、複製フォークと同じ方向に動いて、連続的にRNAに複製していく(動画の1:46)。こちらの鎖をリーディング鎖と呼ぶ。もう一つの方はラギング鎖と呼ばれるが、こちらのDNAは逆向きになっているため、リーディング鎖と同じ方向には合成できない。そのため、逆方向に動き、断片的にDNAをコピーしていく(動画の2:25秒近辺)。この断片を岡崎フラグメントと言う。このようにして、1対のDNAが複製されて2対になる。
遺伝子発現とタンパク質の生成
セントラルドグマに基づいてタンパク質が合成される過程を遺伝子の発現と言うが、これもこれも3Dシミュレーションだとイメージがつきやすい。まず最初にRNAポリメラーゼにより一方のDNAの鎖から転写されて、mRNA(messenger RNA)を作成する(下の動画の0:52)。このとき、チミン(T)ではなく、ウラシル(U)に置き換わる。mRNAは核から抜け出て(動画の1:35)、リボゾームに挟み込まれる(1:44)。このとき3つの塩基の並びをコドンと言い、例えばGCAの並びはアラシンなど対応するアミノ酸が決まっている。人のタンパク質に含まれるのは20種類のアミノ酸しかなく、コドンは64通りがあるので、一つのアミノ酸で複数のコドンがあるものがある。アミノ酸はtRNA(transfer RNA)によって運ばれてきて、リボソームのところで翻訳され、アミノ酸が連なる形でタンパク質が合成されていく(動画の2:10)。
エピゲノム
ゲノム情報によって、遺伝子発現が決まり、生成されるタンパク質が個々に決まっている。でも、同じD一卵性双生児は同じゲノムを持つが性格や外見が全く同じでない。これは後天的な影響で遺伝子発現が変化しているためである。ゲノム情報が変化することなく、遺伝情報の発現が変化し、その変化が細胞分裂によって受け継がれることをエピジェネティクスという。DNAのメチル化とヒストンの化学修飾が実際に分子レベルで起きているが、これをエピゲノムという。下の図だとプロモータは遺伝子発現のOnとOffを制御しているが、プロモーター領域がメチル化することで、この遺伝情報は発現しなくなる。

自分の体の中の37兆個という細胞がミクロな世界でこのような動きをしているということは非常に神秘的に感じる。