アリはコロニーと呼ばれる集団と階層社会を構成する。エサを探すのが仕事のアリもいれば、子育てのアリもいて、高度に組織化された社会性を有しているらしい。アリは自分の体よりも大きなエサを持ち運ぶが、元の巣にちゃんと帰れるということ、そのアリが遠く離れた場所にあるエサをどうやって他のアリに知らせるかなど、色々と興味深いことが多い。今回、CQ出版社の雑誌インタフェースの2018年10月号、11月号にアリの行動についての特集が興味深く、アリコロニーについて整理してみた。
人工生命
人工生命とは、生命とは何かを研究する学問で、コンピュータ上のモデルで生命をシミュレーションしして、生命のルールを探索したりする。例えばボイドモデル(鳥の群れ)だったり、アリの群れだったり色々な生き物に対してシミューレーションするモデルがある。人工知能が人の知能を機械で再現しようとするもので、そこに生命はない。ある記事で東京大学の池上先生の説明を読んだことがあるが、車の自動運転は人工知能で、そこには生命を感じない。一方で馬に乗っているときには生命を感じる。その馬に乗っているときに感じる生命、これを研究して、人工的に再現しようとするのが人工生命と解釈している。
アリコロニーの最適化
今回、興味を持ったアリの行動。アリがどうやってエサがあることを他のアリに伝えるかだけど、これはアリが通った道にフェロモンを残すので、他のアリがそのフェロモンをたどることで、エサにたどり着くことができる。例えば以下の図のように、エサまでに2つのルートがあった場合、同じ数のアリが上と下のルートを通ったとしても、上のルートの方がアリ密度(人口密度のアリ版)が濃くなる。そうなると上のルートの方がフェロモンが濃くなる。フェロモンはある時間が経つと蒸発してなくなるため、上のルートの方を通るアリの方が徐々に増えてきて、最後は上のルートをほとんどのアリが通るようになる。

このアリの行動を利用して、巡回セールスマン問題などの最適ルート探索に応用できる。アリが多くルートが自然と最短となる。以下はYoutubeの研究者ゲンキというチャンネルで公開されていたコードで実際に最適ルートを探索した結果。一番左のスタート地点をもとに、アリがよく通ったルートが太く示されることで、最短ルートを探索できる。

アリコロニーのシミュレーション
雑誌インタフェースにProcessing(ビジュアルデザインのための統合環境)でシミュレーションするためのコードがあり、それを使用してシミュレーションをしてみると以下のように、エサ(白いBox)を見つけたアリのフェロモンが青く表示され、そこにアリが集まってくる様子が見られる。また、左上のエサに行くまでに障害物(黄緑色のBox)があり、2つのルートがあるが、長い距離の右側のルートのフェロモンは消えてしまい、短い距離で行ける左側のルートのみが残る形になっている。
アリが本当にこのような行動するかはわからないが、こうやって見れること自体が興味深く、またそれを人の社会に応用しようとする試み自体が面白い。
その他のアリに関する情報
アリの行動範囲は100mと言われていて、仲間のアリよりも遠くに行く傾向があるらしく、そのため、エサの探索範囲は広がっていく。なぜこんなところにアリが。。。と驚くときもあるが、かなりの活動家で、相当のエネルギー効率のいい生き物に思われる。また、アリの寿命は1年だが、コロニー自体は20年以上続き、情報が世代間で受け継がれるらしい。
参考
https://interface.cqpub.co.jp/wp-content/uploads/if10_126.pdf
https://interface.cqpub.co.jp/wp-content/uploads/if11_144-1.pdf
https://gigazine.net/news/20181213-ant-colonies-retain-memories/