たまにイヌの散歩をすることがあるが、今日はこの道、別の日はあの公園という形で定番の散歩コースがある。今日はこのルートでいくと決めているのか、しっかりと道を覚えている。脳の中には場所細胞というものがあり、特定の場所にいるときにだけ反応する細胞がある。この細胞は海馬にあり、絶えず自分がどこにいるか頭の中の地図で知らせてくれている。自分の理解の範囲で場所細胞について整理してみる。
エピソード記憶
人の記憶には色々な種類がある。イメージや言語で思い出すことができて陳述できるものを陳述記憶、そうでなくて無意識で自覚がない記憶を非陳述記憶という。陳述記憶の中に事実や知識などの意味を記憶する意味記憶と、特定の時間や場所で起きた経験を記憶するエピソード記憶がある。このエピソード記憶には、時間や空間に関する記憶をしている。
空間記憶
1971年にロンドン大学のオキーフ教授がラットによる研究から脳の海馬の中で部屋の中のある特定の場所にいるときにだけ反応する場所細胞(下の図)を発見した。ある場所に近づくと発火が速くなり、遠ざかると発火が遅くなる。ラットが移動すると順々に反応する細胞が移動する。また、場所細胞はラットの海馬には10万個以上もあり、部屋ごとに記憶をしている。この場所細胞がその後の研究で人にも存在することがわかっている。

なぜ特定の場所だけに反応する細胞があるかだけど、海馬の横にある嗅内皮質にグリッド細胞(下の図)というものがあり、格子上にどのように移動したのかを把握できるらしい。また、頭方位細胞という頭がある向きに向いているときだけ反応する細胞、移動速度に依存して活動する細胞などがある。これらとランドマークとなるものを知覚(人は主に視覚、イヌは嗅覚も加わる?)して空間マップを作り、自分の位置を推定することによって場所細胞が発火し、場所を把握することができるらしい。このナビゲーションシステムを元にしたのがSLAM(Simultaneous Localization and Mappin)。

場所の記憶とシータ波
ちょうど関連する記事を見つけたので、その情報も追加。場所を移動するとき、ある場所細胞の発火が遅くなり、次の場所細胞の発火が速くなるが、発火の速さだけでなく、海馬に現れる4Hz~8Hzのシータ波のリズムも変化するらしい。これによって2つの場所細胞の発火が同時になることでシナプスが強化されて、より学習が強化される可能性があるとのこと。
https://gigazine.net/news/20210709-human-brains-temporal-activity-pattern/
その他参考記事
https://www.nikkei-science.com/?p=44210
https://www.ted.com/talks/neil_burgess_how_your_brain_tells_you_where_you_are/